KIYONOエンジニアユニットの一員です。
Google Cloud の上位資格である Professional Cloud Architect(PCA) に合格した体験記をまとめたいと思います。
この記事では、実際に僕がやった勉強法を「何を・どの順番で・どれくらい」のレベルで共有します。短期集中型の勉強法ですが、これから受験する方の参考になれば幸いです。
この記事で分かること
- PCA試験の出題傾向と2025年10月改訂後の変更点
- 過去問中心の短期集中勉強法(5ステップ)
- 出題範囲ごとの弱点補強の具体的なやり方
- ケーススタディ問題の攻略法
- 試験当日のリアルな所感
- よくある質問(FAQ)
PCA試験の概要と2025年10月の改訂ポイント
まず前提として、PCA試験は 2025年10月に試験ガイドがv6.1に改訂 されています。これから受験する方は改訂後の範囲を把握しておく必要があります。
主な変更点
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| ケーススタディ | 旧3社(Mountkirk Games・TerramEarth・Helicopter Racing League)が廃止。EHR Healthcare(継続)+ 新規3社に入れ替え |
| AI/ML | Vertex AI(Gemini含む)が必須知識に昇格 |
| セキュリティ | Model Armor、Sensitive Data Protection、ゼロトラストが範囲に追加 |
| IaC | Terraform が明示的に必須 |
| Well-Architected Framework | 6つの柱が評価基準として必須に |
改訂前の古い教材だけで勉強すると、AI/ML系やセキュリティの新範囲で点が取れない可能性があるので注意してください。
僕の勉強法:5ステップで短期合格
ステップ1:Udemyの過去問を1セットとりあえず解く
最初にやったのは、分からなくてもいいからまず1セット60問を通しで解くことです。
目的は2つ。
- 出題傾向を肌感覚で掴む(どんな聞かれ方をするのか)
- 自分の弱い分野を数字で把握する
初回の結果
| 出題範囲 | 正答率 |
|---|---|
| 全体 | 53% |
| クラウドソリューションアーキテクチャの設計と計画 | 50% |
| ソリューションとオペレーションの信頼性の確保 | 25% |
合格ラインには遠い数字ですが、ここで大事なのは「何が分からないか」が明確になることです。
正答率70%に満たない範囲は重点強化の対象にしました。具体的には、不正解の問題ごとに以下のように潰していきます。
弱点補強の具体的なやり方:
- 不正解の問題の解説を読む
- 解説に登場するGCPサービス名を公式ドキュメントで確認する
- まだ理解が曖昧ならGeminiに「〇〇と△△の違いを教えて」と聞く
- 自分の言葉で1行メモを残す(例:「ストリーミング+低遅延+大量データ → Bigtable」)
この弱点補強はステップ2と並行して進めます。
ステップ2:該当教材の過去問を全セット解く
Udemyの教材には複数の演習テスト(僕の場合は6セット×60問=360問)が用意されています。これを全て解き切ります。
各セットの進め方
まず「演習モード」で1問ずつ解く
演習モードでは回答後すぐに解説が表示されます。ここでのポイントは、正解の選択肢だけでなく不正解の選択肢も理解することです。
PCA試験の選択肢は「4つのうち3つは正解と言ってもいい選択肢」であることが多いです。ただし、問題文の具体的なケースに最もマッチしているのは1つだけ。
たとえば、こんなパターン。
問題: 毎分数百万のテレメトリデータを取り込み、リアルタイム分析したい
- Cloud SQL → RDBだが書き込みスループットが足りない ❌
- BigQuery → 分析には最適だが、リアルタイム書き込みには不向き ❌
- Cloud Bigtable → 大量・高速書き込み+低遅延ルックアップ ✅
- Cloud Storage → ファイル保存で分析用DBではない ❌
「BigQueryでもいけるのでは?」と思いがちですが、毎分数百万の書き込みというケースではBigtableが正解です。このように、不正解の理由まで理解しておくと、似たケースで別のサービスが正解になる問題にも対応できます。
次に「試験モード」で60問を一気に解く
演習モードで解いた直後なので短期記憶が効いています。目標は70%以上。
この時点で演習モードより確実にスコアが上がっているはずです。理解が浅い問題は再度解説を読み込みます。
6セット全部やり通す効果
- 似た想定ケースが繰り返し出るので、出題パターンが体に染みつく
- 一度出てきたサービス名が別の文脈で再登場するので、自然と理解が深まる
- 6セット目あたりでは「あ、これはBigtableのパターンだ」と瞬時に判別できるようになる
ステップ3:一旦時間を空ける(最低1日)
ここで意図的に勉強をストップします。
これは脳科学的にも根拠のある話で、人間の記憶は「思い出そうとする瞬間」に長期記憶に移行しやすいと言われています。短期記憶のうちに詰め込み続けるより、一度完全に忘れて、翌日以降に「あれ、何だっけ? …あ、そうだ!」と思い出す体験をした方が定着率が格段に上がります。
僕の場合は1日空けました。焦る気持ちはありますが、ここは寝て忘れましょう。脳みそはどこかで覚えています。
ステップ4:再度試験モードで全セットを解く
時間を空けた後、6セット×60問を再び試験モードで解きます。
目標は各セット90%以上。ここに到達するまでやり続けます。
90%に届かない分野への対処法
実務で使わないサービスは特に記憶に残りにくいので、以下の方法で補強しました。
サービス判別の「クイック判別表」を作る
| キーワード | 正解サービス | 判定ポイント |
|---|---|---|
| ストリーミング+低遅延+大量データ | Bigtable | 毎秒数千〜数万の書き込み |
| ペタバイト+SQL分析 | BigQuery | 分析・BIの第一選択 |
| グローバル整合性+強い一貫性のSQL | Cloud Spanner | 世界規模の決済系 |
| コンテナをサーバーレスで | Cloud Run | リクエストゼロ時はスケール0 |
| 共有ファイルシステム+POSIX | Filestore | NFS、複数インスタンスから同時アクセス |
| 外部ユーザー+期間限定アクセス | 署名付きURL | ログイン不要で期限付き |
| PCI準拠+スコープ最小化 | トークン化 | Sensitive Data Protectionでも可 |
| ログ長期保存+コスト最小 | Cloud Storage+ライフサイクル | 30日超はエクスポート必須 |
このような対応表を作っておくと、問題文のキーワードから瞬時にサービスを判別できるようになります。
Geminiと公式ドキュメントを併用する
- Geminiには「○○と△△はどういうケースで使い分ける?」と聞く
- 公式ドキュメントで正確な仕様を確認する
- 特にBigtable vs BigQuery、Cloud SQL vs Cloud Spanner、Cloud Run vs GKEの使い分けは頻出
ステップ5:ケーススタディと模擬問題で仕上げ
過去問で90%取れるようになったら、最後の仕上げです。
ケーススタディ対策
2025年10月の改訂でケーススタディは全体の20〜30%を占めます。出題される企業は4社のうち2社です。
| 企業名 | テーマ | 頻出サービス |
|---|---|---|
| EHR Healthcare | 医療SaaS、オンプレ→クラウド移行 | GKE, Cloud SQL, Dedicated Interconnect, GCDS |
| Cymbal Retail | EC、生成AIでカタログ強化 | Vertex AI (Gemini), Dialogflow CX, Cloud Run |
| Altostrat Media | メディア配信、コンテンツ推奨 | Video Intelligence API, Recommendations AI, Cloud CDN |
| KnightMotives Automotive | コネクテッドカー、IoTテレメトリ | Pub/Sub, Dataflow, Bigtable, Apigee |
ケーススタディは事前に公式PDFが公開されているので、試験前に全4社の概要・ビジネス要件・技術要件を頭に入れておくことを強く推奨します。本番では限られた時間でケーススタディの文章を読み直す余裕はほとんどないので、事前準備が命です。
各社に対して「この要件にはこのサービス」という紐付けを覚えておくと、試験中にサクサク解けます。
Google公式の模擬問題を解く
Google が公式に提供している模擬試験があります。これで80〜90%取れるなら本番に臨んでOKです。
試験当日の所感
- 試験時間は120分で60問。時間は余裕があった
- 問題文が長いものは先に選択肢を読んでからケースに戻ると効率的
- 過去問と全く同じ問題は出ないが、パターンは同じ。サービスの使い分け判断力が問われる
- AI/ML系(Vertex AI, Gemini)の問題が体感で増えている印象
今回の資格勉強で一番大事だと思った3つのこと
1. 過去問を完璧にする
過去問は単なる暗記ではなく、「なぜその選択肢が正解で、なぜ他が不正解なのか」を説明できるレベルにすること。PCA試験は「どれも正解に見える4択」から最適解を選ぶ試験なので、消去法ができる知識の深さが必要です。
2. 睡眠をとる
ステップ3で書いた通り、記憶の定着には睡眠が不可欠です。試験前夜に徹夜して詰め込むのは逆効果。最低でも前日は6時間以上寝てください。
3. 試験を受けると決めたらその日中に申し込む
これは精神論ではなく戦略です。試験日が決まると「あと○日」とカウントダウンが始まり、勉強に本気になれます。逆に「そのうち受けよう」だといつまでも先延ばしになります。申し込みは後からリスケジュールもできるので、まず日程を押さえましょう。
使用した勉強材料
| 教材 | 用途 | 備考 |
|---|---|---|
| Gemini | 弱点補強、サービスの使い分け理解 | 「〇〇と△△の違い」を聞くのに最適 |
| Google Cloud公式ドキュメント | 正確な仕様確認 | Geminiの回答の裏取りに使う |
| Udemy(新しい問題集) | メイン教材 | GCP Professional Cloud Architect Mock Exam |
| Udemy(古い問題集) | サブ教材 | Google Cloud Professional Cloud Architect |
| Google公式 模擬問題 | 仕上げ確認 | 公式サイトから無料で受験可能 |
| PCA試験ガイド(v6.1) | 出題範囲の確認 | 公式PDF |
| ケーススタディ公式PDF | ケーススタディ対策 | 4社分すべて事前に読み込む |
本来おすすめしたい勉強法
僕は短期決戦だったので過去問中心でしたが、時間に余裕がある方にはGCPサービスの公式チュートリアルを実際に手を動かしてやることを強くおすすめします。
特に以下のサービスは、試験で頻出かつ実務でも必須なので、触っておくと記憶に残りやすいです。
- GKE: クラスタ作成→デプロイ→オートスケール
- BigQuery: データロード→クエリ→パーティションテーブル
- Cloud Run: コンテナデプロイ→トラフィック分割
- Terraform: 基本的なリソース定義→apply→destroy
机上で覚えた知識はすぐ忘れますが、実際に手を動かした経験は体に染みつきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 勉強期間はどれくらい必要?
僕の場合は短期集中でしたが、1日2〜3時間の勉強で2〜3週間が目安です。GCPの実務経験がある方はもう少し短くても大丈夫です。
Q. 実務経験がないと受からない?
公式には「3年以上の業界経験(うち1年以上のGCPでの設計・管理経験)」が推奨されていますが、受験資格に制限はありません。ただし、過去問だけの丸暗記では厳しいです。各サービスの「なぜそれを使うのか」という判断軸を理解する必要があります。
Q. 英語で受験すべき?日本語?
日本語で受験可能です。ただし、リモートで受ける際は面接官が外国人の場合があるので小学生レベルの英語さえできれば問題ないです。
Q. 不合格だった場合、再受験はいつから?
不合格の場合、14日間の待機期間後に再受験可能です。
Q. Associate Cloud Engineer(ACE)を先に取るべき?
必須ではありませんが、GCPの基礎知識に不安がある方はACEから始めると効率的です。PCAはACEの知識を前提としたアーキテクチャ設計の試験なので、基礎が固まっていないと遠回りになることがあります。
Q. ケーススタディは暗記すべき?
丸暗記は不要です。各企業の概要・主要な要件・推奨サービスの紐付けは頭に入れて程度で良いと思います。本番では時間内にケーススタディの全文を読み直す余裕はないので、事前準備で差がつきます。
Q. 2025年10月の改訂で難しくなった?
AI/ML(Vertex AI)とセキュリティの範囲が広がった分、カバーすべき知識は増えています。ただし、出題の基本的な考え方(ビジネス要件→最適なサービス選択)は変わっていないので、過去問ベースの勉強法は引き続き有効です。
まとめ
PCA試験は「どのサービスを選ぶか」の判断力を問う試験です。
過去問を繰り返し解いて出題パターンを体に染み込ませ、弱い分野を公式ドキュメントとGeminiで潰していけば、短期間でも十分に合格可能です。
これから受験する方の健闘を祈ります。