IDPを再考する – クラウドが開発者プラットフォームをどう変えるか【Google Cloud Next ’25 レポート】

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こんにちは、KIYONOエンジニアの田代です。

クラウドネイティブな開発が進むにつれて、開発者プラットフォーム (IDP) の重要性が増しています。Google Cloud Next ’25のセッション「IDPを再考する:クラウドが開発者プラットフォームをどう変えるか」では、クラウド時代におけるIDPの新しいビジョンと、Google Cloudが提供するクラウド IDPについて解説されました。

本レポートでは、このセッションの内容を要約し、クラウド IDPの利点や具体的な活用方法について解説します。

従来のIDPの課題

従来のIDPは、オンプレミス環境を前提として設計されていることが多く、クラウドネイティブな開発には適していません。

セッションでは、従来のIDPが抱える課題として以下の点が挙げられました。

サービス単位の設計

モダンなアプリケーションはマイクロサービス化が進み、複数のサービスを組み合わせて開発されることが一般的です。

従来のIDPはサービス単位で管理・運用されることが多く、複数のサービスを横断した管理が困難でした。

組織ごとの個別対応

企業はそれぞれ独自の権限やポリシーを持っており、従来のIDPはこれらの要件に合わせて個別にカスタマイズする必要がありました。

これは、運用コストの増加や、組織間の連携の難しさにつながっていました。

静的で柔軟性のない設計

従来のIDPは静的な構成で設計されているため、アプリケーションのニーズに合わせて柔軟に変更することが困難でした。

クラウド IDP の利点

Google Cloudが提供するクラウド IDPは、クラウドネイティブな開発に最適化されたプラットフォームです。

セッションでは、クラウド IDPが提供する主要な利点として以下の4つが挙げられました。

安全性 (Secure-by-design)

セキュリティはクラウド IDPの設計思想の中核です。アプリケーションのライフサイクル全体を通じて、セキュリティリスクを最小限に抑えるための対策が組み込まれています。

信頼性 (Reliable-by-design)

クラウド IDPは、Google Cloudの高可用性インフラストラクチャ上で動作するため、高い信頼性を提供します。

障害発生時にも迅速な復旧が可能で、ビジネスの継続性を確保できます。

コンプライアンス準拠 (Compliant-by-design)

クラウド IDPは、様々な業界標準や規制に準拠するように設計されています。

これにより、コンプライアンスリスクを軽減し、監査対応を容易にします。

可観測性 (Observable-by-design)

クラウド IDPは、アプリケーションの動作状況を監視するための豊富なツールを提供します。

これにより、パフォーマンスのボトルネックやセキュリティ上の問題を迅速に特定し、対応することが可能になります。

クラウド IDP の主要なコンセプト

クラウド IDPは、以下の主要なコンセプトに基づいて設計されています。

Shift Down

開発者に負担を強いるのではなく、プラットフォーム側で多くの機能を提供することで、開発者の認知負荷を軽減します。

開発者はビジネスロジックの開発に集中できるようになります。

Google による構築

Google Cloudが提供するアプリケーション中心のプラットフォームアプローチを採用することで、IDPの構築と運用を簡素化できます。

クラウド IDP の構成要素

クラウド IDPは、以下の主要な構成要素から成り立っています。

ランタイム

アプリケーションを実行するための基盤となる環境を提供します。

Cloud Run、GKE、Cloud Functionsなど、様々なランタイムが利用可能です。

アプリケーション中心の共通基盤

ネットワーク、セキュリティ、可観測性といった、アプリケーションに必要な共通機能を提供します。

Cloud Hub

複数のサービスを横断した統合ビューを提供し、アプリケーションの管理・運用を容易にします。

アプリテンプレートとカタログ

アプリケーションの設計テンプレートや、再利用可能なコンポーネントを提供します。これにより、アプリケーションの開発期間を短縮し、品質を向上させることができます。

SaaSアプリケーションにおけるクラウド IDP

セッションでは、SaaSアプリケーションにおけるクラウドI DPの活用方法についても解説されました。

クラウド IDPを活用することで、SaaSアプリケーションの開発・運用を効率化し、セキュリティと信頼性を向上させることができます。

質疑応答

セッションの後半では、参加者からの質疑応答が行われました。

主な質問と回答は以下の通りです。

質問: クラウド IDPは、どのような種類のアプリケーションに適していますか?
回答: クラウド IDPは、マイクロサービスアーキテクチャを採用したクラウドネイティブなアプリケーションに最適です。しかし、従来のモノリシックなアプリケーションにも適用可能です。

質問: クラウド IDPの導入には、どのようなスキルが必要ですか?
回答: クラウド IDPの導入には、クラウドに関する基本的な知識と、アプリケーション開発の経験が必要です。Google Cloudは、クラウド IDPの導入を支援するためのトレーニングやドキュメントを提供しています。

質問: クラウド IDPの料金体系はどのようになっていますか?
回答: クラウド IDPの料金は、利用するサービスに応じて異なります。詳細は、Google Cloudのウェブサイトをご覧ください。

まとめ

クラウド IDPは、クラウドネイティブな開発に最適化された新しい開発者プラットフォームです。Google Cloudが提供するクラウド IDPを活用することで、開発者の生産性を向上させ、安全で信頼性の高いアプリケーションを迅速に開発・運用することが可能になります。

本レポートが、クラウド IDPへの理解を深める一助となれば幸いです。

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