Gemini時代のためのAI駆動次世代グローバルネットワーク【Google Cloud Next ’25 レポート】

GCP

こんにちは、KIYONOエンジニアの田代です。

現代のデジタル時代において、高性能で信頼性の高いネットワークインフラストラクチャはビジネスの成功に不可欠です。

Google Cloud Next ’25のセッション「Gemini時代のためのAI 駆動次世代グローバルネットワーク」では、Geminiをはじめとする AI技術の進化に対応したGoogleの次世代グローバルネットワークが紹介されました。

本レポートでは、このセッションの内容を詳細にまとめ、Googleのネットワーク戦略の進化、具体的な技術革新、そして顧客にもたらされるメリットについて解説します。

Google のネットワーク戦略の進化

Googleのネットワーク戦略は、長年にわたり進化を遂げてきました。

セッションでは、ネットワークの歴史を5つの段階に分け、それぞれの時代における課題と Googleの取り組みが紹介されました。

  1. Human-driven (2012年以前):
    ネットワークの運用は主に人手で行われていました。ネットワークの規模が拡大するにつれ、運用管理の複雑さが増大し、人的ミスや対応の遅延などの課題が生じていました。
  2. Workflow-driven (2012年):
    ワークフローの自動化により、一部の運用タスクが効率化されました。しかし、依然として複雑なネットワーク設計や計画は人手で行う必要がありました。
  3. Event-driven (2017年):
    イベント駆動型アーキテクチャの導入により、ネットワークイベントへの対応が迅速化されました。しかし、イベント発生時の根本原因分析や対策には、依然として人による判断が必要でした。
  4. Machine-driven (2024年):
    機械学習の導入により、ネットワークの運用効率が大幅に向上しました。AIがネットワークトラフィックを分析し、最適なリソース配分やルーティングを自動的に行うことで、パフォーマンスと信頼性が向上しました。
  5. Autonomous (2024年以降):
    AIがネットワーク全体を自律的に制御する時代です。障害発生時の自動復旧や、セキュリティ脅威への自動対応など、人が介入することなくネットワークが自己修復・最適化を行います。これにより、障害対応時間が数時間から数分に短縮され、運用効率とレジリエンスが飛躍的に向上します。

Google の次世代グローバルネットワーク

Google の次世代グローバルネットワークは、以下の要素で構成されています。

  • グローバル規模のインフラストラクチャ:
    42のリージョン、202のネットワークエッジロケーション、33本の海底ケーブル、200万マイル以上の光ファイバー、200以上の国と地域、3000以上の CDNロケーションを擁する大規模なインフラストラクチャ上で動作します。
  • AI 駆動型運用:
    AIがネットワークの運用を自動化し、パフォーマンス、信頼性、セキュリティを最適化します。
  • インテントベースのプログラマビリティ:
    顧客のビジネスポリシーをネットワークインテントに変換することで、柔軟なネットワーク制御を可能にします。例えば、データ主権に関するポリシーに基づいて、特定のデータが特定の地域外に転送されるのを防ぐことができます。
  • マルチシャードネットワーク:
    大陸や地域をまたぐ、Geminiのトレーニングフットプリントの拡大に対応するために開発されました。従来の垂直方向のスケーラビリティの限界を克服し、水平方向のスケーラビリティを実現します。複数の独立したシャードを単一のネットワーク上で運用することで、帯域幅を LANレベルにまで拡張できます。

これらの技術革新により、Googleの次世代グローバルネットワークは、Gemini時代に求められる大規模なAIワークロードにも対応できる、高性能でスケーラブル、かつセキュアなインフラストラクチャを提供します。

顧客にもたらされるメリット

Googleの次世代グローバルネットワークは、顧客に以下のメリットを提供します。

  • 高速化:
    AI駆動型運用により、ネットワーク遅延を最小限に抑え、高速なデータ転送を実現します。
  • 高信頼性:
    自律型ネットワーク運用により、障害発生時にもサービスの継続性を確保し、高い信頼性を提供します。
  • 効率化:
    AIによる自動化により、運用コストを削減し、効率的なネットワーク運用を可能にします。
  • 安全性:
    ゼロトラストセキュリティモデルに基づいて設計されており、高度なセキュリティ対策を提供します。

パートナーシップ

BTとの戦略的パートナーシップについても発表されました。BTは、Google Cloudと連携し、マネージドネットワークサービスを提供します。このパートナーシップにより、顧客はよりシンプルかつ迅速に Google Cloudのネットワークサービスを導入できます。

NOC/SRE ユーザーエクスペリエンス

自律型ネットワーク運用による NOC/SRE ユーザーエクスペリエンスの向上についても言及されました。

従来、ネットワーク障害が発生した場合、NOC/SRE エンジニアは手動でログを分析し、根本原因を特定する必要がありました。

Google の自律型ネットワークでは、Gemini がネットワーク障害を自動的に検出し、根本原因を分析、対策手順を提示します。これにより、NOC/SRE エンジニアは障害対応に要する時間を大幅に短縮し、より戦略的な業務に集中できます。

デモ

2つのデモが行われました。

1. ネットワーク障害発生時の自動復旧:
マルチシャードネットワークにおいて、あるリージョンで障害が発生した場合、他のリージョンに自動的にトラフィックが切り替わり、サービスの継続性が維持される様子が実演されました。

2. 自律型ネットワーク運用:
Gemini がネットワーク障害を検出し、根本原因を分析、対策手順を提示する様子が実演されました。

これらのデモでは、Google の次世代グローバルネットワークが、いかに高信頼性で効率的なネットワーク運用を実現するかを具体的に示されています。

質疑応答

    • 質問: 自律型ネットワークは、どのような業種の企業に適していますか?
    • 回答: 自律型ネットワークは、あらゆる業種の企業に適しています。特に、ミッションクリティカルなアプリケーションを運用する企業や、グローバルに事業展開する企業にとって大きなメリットがあります。
    • 質問: 自律型ネットワークの導入には、どのような準備が必要ですか?
    • 回答:自律型ネットワークの導入は、既存のネットワーク環境に依存します。Google Cloud の専門家が、お客様の環境に最適な導入プランをご提案します。
    • 質問: ネットワークのセキュリティ対策はどのように強化されていますか?
    • 回答:Google の次世代グローバルネットワークは、ゼロトラストセキュリティモデルに基づいて構築されており、データの暗号化、アクセス制御、脅威検知など、多層的なセキュリティ対策を提供します。

 

まとめ

Google の AI 駆動次世代グローバルネットワークは、Gemini 時代に求められる、高性能でスケーラブル、かつセキュアなインフラストラクチャを提供します。

自律型ネットワーク運用やマルチシャードネットワークなどの革新的な技術により、顧客はビジネスの成長を加速させることができます。

本レポートが、Google の次世代グローバルネットワークへの理解を深める一助となれば幸いです。

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